こうして長く、そして頻繁に軽井沢で過ごすことが多くなったのには訳があって、友人が時には一緒に滞在してくれていたから。一人で来ても寂しいだけの私にとっては、有り難かった。
善光寺参り、お隣の長野県立美術館、東山魁夷美術館に行ったりもしたし、先日は小布施に出掛けて、岩松院の北斎の「八方にらみ鳳凰図」、北斎館、高井鴻山記念館、そして栗おこわ、栗スィーツも楽しみ、お互いに満足の日帰りの旅などもした。
しかしである、10日に来た彼女は、風邪をひいたと言って、風邪薬を持参でやってきた。咳も出ていた。はて、と私はちょっとビビってしまった。コロナの今のご時世でこの状態で、4泊もする。それも、いくら寝室は別と言っても、この家での共同生活である。できるだけ換気に気をつけても、私はうつることがとても不安になった。今まで、主治医に相談しながら、コロナのワクチン接種も自分の判断で3回以降受けていない。それは接種での自分の今の体へのダメージを考えて受けないで来た。それでも幸い一度もかからずここまで来た。やっと調子も以前に戻った気がしていて、本当に良かったと思っている矢先である。
翌日、彼女は声が出ず、せき込むことが多くなった。風邪薬をせっせと飲んで、最悪の日も過ぎて、帰る日には声もかすれながらもでるようになり、予定の4泊5日の滞在を終えて帰っていった。
私はといえば、既に3日目の早朝からのどの痛みが始まり、咳も出始め、4日目には熱が38度5分までになった。帰る日も、寝室からやっと玄関に降りていき、「気をつけて帰ってね」と見送るのがやっとだった。
薬を飲みたくない私は、頑張って自力で治そうと、2日間寝てはいたが、一向に回復の兆しもなく、途方に暮れた。とんだ手土産、置き土産である。
昨日は、元気に草津音楽祭に行き、また報告します、などと書いたが、実のところ、今は行けるか、全くもってわからない。
保険証を持参していないポケもあり、また、軽井沢はお盆中で、病院は休み、私は意を決しておとといには、早朝6時にタクシーを呼び、新幹線で一旦東京に戻り、近所のかかりつけ医で、PCR検査(結果は陰性)、肺の状態を診てもらい、喉と咳は耳鼻咽喉科で、仕方がないから薬を処方してもらった。「さっさと治してしまう方がいいから、薬は飲んだほうがいい、抗生剤を飲まないと治らないだろう」という医師の判断に従った。
この日は日帰りで、夕方前には軽井沢の家に戻ってくることができた。今は、のどの痛みは治まったものの、熱はまだ微熱、咳もまだひどい、咳き込むと止まらない。
22日の草津でのオールモーツァルトプロ、それを聴くのをあんなに楽しみにしていたのに。。。
私は、風邪をひいた状態で、訪ねてきた友人にどう対処するべきだったのだろうか・・。
帰ってくださいといえる人がどのくらいいるだろうか。そして、この状態で、もしうつしてしまったらと、来るのをキャンセルする人がどのくらいいるだろうか。
うつす方の責任よりも、うつってしまった方が悪いのだろうか?一般的には、どう考えるものだろうか?ずっと考えてしまった。
でも、一つだけ言えるのは、もし私が友人の立場だったら、万が一にも、うつしてしまったら、お互いに気まずい関係になるだろう、それを避けるために、私はまた良くなったら来るはね、と言って「今回は帰る」のかな、と。
でも、それを相手に求めることは、できなかった。全て私の自己責任なのである。