散楽♬♡

友人の友人が、謡を長い間習っていて、その発表会や、その謡のお師匠さんの能の舞台などに、ことあるごとに友人を通して私も誘ってくださるので、ここ数年はお陰様で、私も楽しい時を過ごさせて貰っている。
昨日は、その先生が企画主催の「深川能楽サロン」で「大江山」のお能のお勉強会がありそれに参加してきた。25日には、矢来能楽堂で「吉野天人」などと一緒にこの「大江山」の本公演があり、それも勿論行こうとチケットを買っている。

事前にこのようにお勉強会に参加していると、よくあらすじも理解でき、また見せ場の一部などもシテの能楽師が実際に演じてくださったりするので、本当に為になる。昨日は「大江山」で使用される能面や装束も実際に見せてくださった。こんな体験をすると、本番の舞台が益々楽しみになってくる。

お能の始まりは約650年前で、観阿弥・世阿弥の親子によって大成され、能面をつけて行われる仮面劇。また、歌と舞で構成される歌舞劇で、今年の大河ドラマ「光る君へ」に出てくる庶民の間の風刺劇「散劇」がルーツと言われているそう。これについては殆ど資料がないことから、多分大河では、様々な文献からこうだっただろうという想像の世界を描いているのだろうからとても興味深いと、能楽師である先生はおっしゃっていた。

私も、今年の大河を面白くみているが、この時代の「散楽」と呼ばれ演じられていたものが、能の始まりだったとは知らなかった。江戸時代には武士によって愛好されるまでになった長い歴史を思うと、とても興味深く思えた。

2001年には、ユネスコより世界無形文化遺産に日本で最初に認定されたが、その後2年ごとに文楽・浄瑠璃、そして歌舞伎と続いている。古典芸能の中では、能が第1号だったのである。

お能はお面をつけているので、その表情は所作や舞からそれぞれ観るものが想像することになり、表現も極めて簡素でありながら、感情を緻密に表していて、そこが奥ゆかしく、日本的で美しいと思う。謡(うたい)と囃子(はやし)の派手さも加わり、ストーリーも様々で、魅力的なヒロインたちも登場する。オペラも楽しいが、650年も続く、世界で最古の劇団とわれる能の魅力もはかり知れない、と思っている。