国宝・曜変天目・・♪♡♠♤

♪三菱一号館美術館で、現在開催中の「三菱の至宝展」に行って来ました。私の目的は実は、唯一つ、国宝の曜変天目で、前から見てみたかったのです。この曜変天目茶碗は世界に3点しかなく、その3点は全て日本にあり、3点共に国宝に指定されています。いずれも中国の建窯で作られた南宋時代のものですが、作者は不明、日本では室町時代から唐物の天目茶碗として最高峰とされています。

大徳寺龍光院、藤田美術館、今回公開の静嘉堂が所蔵していますが、これらはあまり公開されることはなく、そして、今回私がみた静嘉堂の曜変天目は、特に現存する中でも最も優れたものとされているのです。

「茶碗の中に宇宙がみえる」と言われるこの茶碗。星がきらめいて、見る角度によって輝きや色彩も変り、一回りしても飽きず、なかなかこの場所から離れられずに、行っては戻り、また行っては戻りとしてしまいましたが、やはりこのお茶碗を目当てに来ている人は私だけではないようで、そういう人が周りにもいました。

何故日本にしか残っていないのかなど、解明されていない謎も多く、中国では不吉なことから全て捨てていたという説もあり、ミステリアスな所にも惹かれます。

でも、想像していた通り、美しかった。元々は徳川将軍家の所蔵で、家光が病に伏せる春日局に下賜したことから、その子孫の淀藩主稲葉家に伝わり、(その為、別名、「稲葉天目」といわれるようになった)その後、三菱財閥岩崎小弥太が購入し、静嘉堂に所蔵され現在に至っていますが、岩崎は「天下の名器を私如きが使うべきではない」と生涯使うことはなかったそうです。

そんな長い歴史を経て来た曜変天目茶碗、歴史を感じながら見るとまた素晴らしかった。やはり自分のこの目で見ることができて本当によかった。心が豊かになった思いでした。公開は今月12日(日)までです。