”真昼の夢”という絵♬

今朝は、キツツキのことを考えてうんざりしていたところ、でも気を取り直して、弦楽四重奏曲の大好きな「狩り」k458を聴いてみた。貞次さんが、モーツァルトハウスのテラスで、演奏してもらいたいと「真昼の夢」というタイトルで絵まで描いた光景を、この曲を聴くと、どうしても思い出してしまう。

モーツァルトがヴィオラ、ハイドンが第二ヴァイオリンという構成で演奏されるこの曲、貞次さんは夢でもいいから聴いてみたいと言っていたが、きっと、あの世で聴いているに違いない。私はいつかこの光景が現実になれば、ともちろん演奏家は現在版で、と願った時もあったが、今となれば貞次さんの”夢”のままで終わっていた方がいいのではと、思う。空想の世界にしておいた方が、なんか私もいいように思う。貞次さんのいない今、現実にしたところで、何の意味もない。

きっとこの絵は描いていて楽しかったんだろうなと、今にして思う。思えば最後に手掛けた作品だった。そして最後になった。

自然の中で聴く、モーツァルト。「自然あふれる場所で聴くクラシック音楽はとても素晴らしい。」とおっしゃっていた有名な先生がいらしたそうですが、それは本当にそうだと思う。どこで聴いたって同じでしょう、と思われても仕方がないが、そうではないと私も思う。

都会で聴く音楽も又、素晴らしいだろうし、その素晴らしさ、感動は場所に関係なく感じることはできる。でも自然の豊かさの中に、とっぷりと浸りながら、静かにモーツァルトを聴く、それはとても贅沢な時間の様な気がする。モーツァルトと自然は、よく合う。

大賀ホールで聴いたK364が忘れられずにいる。今思い出すと、なんという贅沢な時間だったことだろう。いろんな人に、いろんなことに、感謝したい。貞次さんにも届いていただろうな~。