かつては、”B”だった・・・・♬♡

昨日は、突然友人からの電話で、夜のコンサートのお誘いを頂いた。
サントリーホールでのN響定期公演である。同伴の人が急に行けなくなったので、一緒にどうかというもの。私はいつもだいたいフリー、夜は、協会の例会以外、今は殆どフリー、二つ返事で伺うことにした。

夕食をお隣のANAで、ブッフェスタイルのフレンチディナーを贅沢に頂き、それからコンサートホールへ。

プログラムは、これもとても贅沢。ファビオ・ルイージ指揮、ハイドン交響曲「くま」、モーツァルト「ホルン協奏曲第3番」、ベートーヴェン交響曲「田園」と、ウィーン古典派を代表する3人の名曲が並んでいる。私は何とラッキーだったことか。

指揮者が目の前によく見える、とても前の席だったので、私はオペラではお馴染みさんのこのルイージの指揮を目でも楽しむことができた。

5月の大賀ホールでもベートーヴェン第7番を聴いたばかり、またベートーヴェンの「田園」と、ここの所ベートーヴェンが続いている、それも交響曲、私はベートーヴェンの交響曲を全部聴いてみたいと思った。モーツァルトの「ジュピター」でモーツァルトに目覚めた時と似ている感覚。

「田園」は音楽の時間によく聴いて、みんながよく知っている曲だが、私は生でのオーケストラの威力と、指揮者のすごさにすっかり感動してしまい、ベートーヴェンの、モーツァルトにない何かにはまり込んでしまったような感覚になった。

そういえば、海老澤敏先生も、とあるご著書で「かつて一番有名だったクラッシック音楽家はベートーヴェンであった」と言っておられる。それからモーツァルトが人々に受け入れられるポピュラーな音楽家になった受容の歴史はあるが、かつてはベートーヴェンだった。「田園」を聴きながら、私は海老澤先生のその言葉を思い出していた。

大賀ホールでの思い出が一つ。私の右隣のご年配の男性は、コンサートが始まる前からずっと居眠りをされていた。コンサートが開始して「魔笛」序曲、「ヴァイオリンとヴィオラの協奏交響曲」の間もず~と、それなのに、後半ベートーヴェンの第7番が始まるやいなや、身じろぎもせず、ずっと熱心にこの7番に聴き入っていた。正直、私はその変貌ぶりに驚いた。その時にも、海老澤先生のお言葉を思い出した。この方は、ご年齢から推察するに、ベートーヴェンなんだな~、結局、今日のお目当ては、この曲だったんだなと。

ベートーヴェンの奥深さは、モーツァルトと違った奥深さ、綺麗、美しい、天から降ってきたようなメロディとか、天才が作った音楽、とかよく言われる、モーツァルトのそれとは違ったものを、私は、それが何なにかは分からないが、感じた。貞次さんも、一緒に聴いていたら、きっと私と同じ感銘を受けたと思う。それが語れないことを、とても残念に思った。

N響のプログラムも魅力的だ。来期は、定期会員まではいかなくとも、時々一般ででも行ってみたくなった。そうだ、時々出かけてみよう。来期も聴きたいプログラムがいくつかある。
昨日私に、こんな楽しみのきっかけをくれた友人に、感謝している。