上質の音楽♬♡

10月26日、私の誕生日の夜に聴いたコンサート、浜離宮朝日ホールでの上質な音楽、これ以上至福の時間があるだろうかと思った。音楽とは、それも上質な演奏は人をもこれほどまでに幸せに誘うものかと、ずっとそんなことを思いながら家路についた。あのコンサート帰りの満たされた思いは、今でも忘れることはできない。

ピアノ・デユオ・リサイタル、ミシェル・ダルベルト&鈴木隆太郎という師弟関係の二人が、モーツァルトが、1曲しか残していない「2台のピアノの為のソナタK448」を、ダイナミックに、迫力満点に、それでいながら、繊細に、優雅に、美しい音色で聴かせてくれた。何時も聴いているCDからは味わえない素晴らしい体験となった。

その後は、シューベルト、後半のフランスものの、ラヴェル、ドビッシーと続いたが、モーツァルトしかあまり反応しない私が、心を奪われてしまった。

こんな上質な音楽を生で聴くことができるというコンサートは、何て素晴らしいものだろうか。週に何回も、年間200回以上とか、いつもコンサートで出会う人がいるとか、頻繁にコンサートに通う人は私の周りにも何人かいらっしゃるが、実際にこのような感動を体験してしまうと、生の、それも上質な音楽に包まれる幸せを求めて通う人の気持ちがとてもわかる気がした。

名曲を名演奏で聴く、それも生で、一流の演奏家で、そしていいホールで、と、このような点がいくつも重なった時の化学反応がたまらないのだろう。一期一会の出会いだからこその感動もあるのだろうと思う。

夢の様に過ぎた、2夜のコンサートを懐かしみながら、私は今もその感動に浸っている。曲だけでなく、演奏家の持つ力の大きさにも感動した夜だった。