時薬♬♡

時薬とは、良く言ったものだ。時が来ると解決するとか、自然と、時の流れと共に、改善していく様子を言い得たのだと思う。

ご主人を早くに亡くし、当時は、真っ暗闇の中を生きているようだったという女性が、勧められるままに踊りを始めたら、踊っている間は、何もかも忘れることができ、夢中になれた、そして最近始めたピアノでベートーヴェンの「月光」を弾いていた。

NHK「街角ピアノ」を何気なくみていたら、このシーンに出会った。ご年配の和服を着た女性は「幸せは求めるものではなく、感じるものだと気が付いた」とおっしゃっていた。

幸せなど、求めたって求められない、確かに、感じるものだと、私も思った。幸せを感じる瞬間はいっぱいある。身近な所にも、いっぱい。

昨年の2月末に病気になって急遽9日間入院した。それからもうすぐ2年になるが、この間、ずっと今まで感じたことのない体調不良を感じて過ごしていた。その間に1~2度の再発もあったし、風邪も何度かひいた。いつになったら、以前の様な私に戻れるのだろうかと思っていたが、それも時薬が効いてきたのだろうか。昨日の3ケ月ごとの検診で、「どこも悪い所はありませんよ」と言われた。血液検査も問題なかったのだ。

どうして?と、思うのだが、何が良かったのかもわからない、精神的なものと言ったって、ずっと同じ気がするが、それらを時が解決してきたのだろうか。今はそう思える。

今まで医師たちにも恵まれていた。思い返すと、貞次さんがかかっていた大学病院の先生たちは、どの科の先生も本当にみんないい先生たちだった。貞次さんが守ってくれていたのだろう。そして、友の存在、これも大きな支えになってくれた。いつも私を心配してくれて、有難かった。

そして、私には、モーツァルトがいる、モーツァルトの音楽がある。いつの間にか私の中では、モーツァルトさんと、貞次さんは、一緒になっている。いつまでも、一緒。大好きな存在。
私が生きている限り、貞次さんも生きているのだ。