歴史探訪~願成就院♪♡

今回の旅では、思わぬ歴史探訪も出来た。伊豆長岡は昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台にもなった場所。源の頼朝が平家に敗れて辿り着いた所で、かくまって世話をしたのが北条氏の当主時政公で、三養荘の近くには、この北条時政公が、頼朝の奥州藤原氏討伐の戦勝祈願して建立したという「願成就院」があった。守山を背にして建ち、伊豆長岡駅から、徒歩15分ほどの所。

ここには国宝の運慶作の仏像が5体もある。東日本に現存する最古の運慶仏で、運慶25歳の時の作。若き運慶の傑作であり、代表作の一つとされ国宝に指定されている。これらを拝みに行くだけでも価値があったと思っている。

運慶は、今更だが、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍したわが国の彫刻史を代表する仏師。東大寺の「金剛力士像(国宝)」などの優れた作品を残したほか、その一門は「慶派」として、長く日本の彫刻界を主導した。鎌倉彫刻の特徴である写実性、力強さは運慶によって確立されたとされている。仏像の胎内から発見された銘札から、制作年は文治2年(1186年)、施主は北条時政であることが判明されている。

運慶というと、私は、モーツァルトとの共通点もあるように思う。夏目漱石の「夢十夜」に運慶が仏像を彫っている所をみて、「あれは彫っているのではない、木の中にある仏像を掘り出しているだけなのだ」という所がある。
アルベルト・アインシュタインは、「ベートーヴェンは音楽を創り出し、モーツァルトはそれをただ見つけ出しただけ・・・」と言っているが、それに通じるように思う。

何処へ行っても春の中伊豆は人影もなく、「願成就院」も静かな場所で、桜の季節の一歩手前だったのもよかったのかも知れない。現存の本堂は茅葺きの屋根で、修復中だったが、1789年に願成就院創建600周年にあたり建立されたもの。モーツァルトの没年の2年前のこと。

今回は、この運慶との出会いがあったことも忘れ難い・・。

またゆっくりと行ってみたい場所である。