モーツァルトハウスのテラスを掃除して、綺麗になったら貞次さんの作品「真夏の夢」を思い出したお話をしていたら、「やりましょ~!」と絵の通りの弦楽四重奏曲「狩り」を演奏するからとのお話が舞い込んできた。
とっさに「エェ~本当に???」と思ったが、ご主人の夢を叶えましょう!との、貞次さんへのお優しい思いやりからで、本当に嬉しいと思いながらも驚いた。
あのテラスは、2006年のモーツァルト生誕250年の記念の年の増築の際に、貞次さんはまさに”森のホール”とまで名付けて、広いデッキにして、観客用に木の切り株で観客席迄設計して作った、とても楽しい、ドリーム的な森のホールだったのだ。
時には、フルート仲間が集まった新緑の頃に、ここでフルートやヴァイオリンが実際に奏でられ、私たち家族は皆で、このテラスを囲んで座って、大いにこの時を楽しんだ。
でも、それは、私の記憶では一回きりだったような気がする。外はまずお天気に左右されるし、気候も関係してくる、寒い中では外には出たくない。また自然の中のこと、風が吹くと譜面台の楽譜が飛んで、演奏が中断することもあった。それはいわばお遊びだから楽しめたのだが、いざ演奏家さんを呼んでの本番を思うと、なかなか実現は難しかったのだと思う。別にだからと言って、それが出来ず寂しいということではなく、私たちはそういうことを想像してホールを作ったりしていることが、既に楽しかったのだ。
だから、貞次さんの人生の最期に”夢”として現れたのだろうと思う。素敵な夢だと思った。それも”狩り”をあのテラスで演奏しているなんて、森の中の客席には私たち二人がちょこんと座っている。何と素敵な貞次さんにしか見ることにできない夢。軽井沢モーツァルトハウスでの真夏の夢。
お話は嬉しいながらも、それは実現には大変なこと、お天気を見ながらのことで、弦楽四重奏ともなればスケジュール管理も演奏家さん4人には大変なこと、そして、今の私には到底できっこない事。
二人でなら、できたかもしれないが、貞次さんがいなくなった後にこの夢を実現しようなど、私は思ってはいない。夢のままで・・・
こんな私の気持ちをお伝えしたら、いつかお部屋の中で、小さなモーツァルトをいたしましょうね!とのお返事があった。お気持ちだけは本当に有難く、貞次さんにもきっと届いている。
これでよかったのだと思っている。夢のままで・・・♪♡
そして、モーツァルトと共に歩んだ、私たち夫婦の思い出のままで・・。



