京都旅行の前日は、日本音楽コンクールフルート部門の本選を聴きに初台のオペラシティ・コンサートホールへ。
この年になると、大きな動きのある行事の前後は疲れを考えると、予定を入れたくないのですが、この本選にはどうしても行きたかった。
本選迄勝ち抜いてきた挑戦者たちは5名、1次予選、2次予選の課題曲は数曲あって、その中からそれぞれが選ぶことが出来るのだが、本選では課題曲は1曲のみ、全員がその曲を演奏しなければならない。そしてそれは、モーツァルトのフルート協奏曲第1番K313と決められている。
勿論暗譜で、新日本フィルハーモニー管弦楽団、指揮大井剛史をバックに、オペラシティ・コンサートホールという大ホールで演奏する。
5人の本選迄進んだ方々が、私の大好きなフルート協奏曲をどう演奏するのか、それもあって、私は興味津々で出かけた。
モーツァルトの曲には、教材的な要素がある。例えばオーボエでも、クラリネットでも、ヴァイオリン然り、本選ではモーツァルトの協奏曲が選ばれることが多い、多いというよりほとんどのコンクールにはモーツァルトの曲が課題曲に入っている。
全員の演奏が終わり、ほぼ30分後にはロビーで発表があった。聴衆のアンケートで決まる”聴衆賞”と、そして1位から5位までの発表を見届けてから、私は帰ってきた。
前半3名、後半2名の全5人の演奏は素晴らしく、堂々としていてさすがに本選迄勝ち抜いてきただけあると思った。私の予想した通り、福田京さんが1位だった。2位は最後に演奏した藤枝麻里花さんだったが、これも私の予想通りだった。
”聴衆賞”も私は福田京さんのお名前を書いたが、 ”聴衆賞” も福田さんだった。
ロビーにはプロの演奏家のお姿も見え、2位の藤枝さんの指導をされていたのだろうか、N響の首席フルート奏者のお姿もあった。
モーツァルトの曲の演奏は、しっかりとした基礎力の上に豊かな共感力(感受性)と表現技術が加わることで、初めて美しい音楽として結晶化される、だからモーツァルトの曲は理想的な教材であるのだが、それだけではなく高い芸術性がある。
モーツァルトの音楽の素晴らしさは、こんなところにも隠されているのだと、感じ入って帰ってきたが、もっと言えば、モーツァルトを学ぶことにより、演奏家の能力の進化にも繋がり貢献している音楽かも知れない、他の作曲家にはない尊いものを感じた。モーツァルトは意識した訳ではないのに、結果的にそうなった。
1位に輝いた福田京さんは、伸び伸びと演奏されていて、本当にモーツァルトの音楽の素晴らしさをフルートで表現してくれたと思う。余裕のある演奏で最後まで本当に素晴らしかった。音色も輝くようでモーツァルトの音楽にとても合っていた。もう一度聴きたいと思わせてくれたのだから、その素晴らしさは抜きんでていたと思う。まだ音大の大学院生(愛知県立芸術大学院)のようですが、本当にこれからも楽しみです。
本選迄選ばれたそれぞれの方々、おめでとうございました。道はまだまだ続きます。
NHkEテレや、BSでは12月にはドキュメンタリーとしての放送もあるそうです。楽しみにしたいと思います。


発表風景

1位の福田京さん
今年の審査員に小山裕幾さんが加わった。そのことを貞次さんに報告しながら出かけたが、貞次さんもその活躍を喜んでいると思う。
何気なく座った席のお隣に小山さんのお母様がご友人と座っていらした。
広い会場で、こんな偶然もあるんだと思いながらも、貞次さんもきっと一緒に聴いていたのだと思った。
小山裕幾さんは第72回(2004年)の優勝者、高校生だったそうだけど、21年経ち審査委員というお立場になった。ご本人も感慨深いものがあるだろうな。
