角川庭園♪♡

荻窪駅からの徒歩圏に角川庭園がある。これは角川書店の創業者の角川源義(げんよし)が住んだ邸宅で、遺族から区に寄贈されたことにより公開され、今では誰でもこの邸宅とお庭を訪れ、散策することが出来る。

角川書店というと、大手出版社で「昭和文学全集」など有名だが、文庫本を初めて世に出したところでもあるそうである。文庫本創刊の動機は、それは阿佐ヶ谷の古本屋でみた本の見返しに「目がつぶれるほど本が読みたい」との書き込みに「ドキンとした」ことで、角川源義のこの体験が文庫本を誕生させたことになる。今も愛される文庫本の誕生秘話である。

俳人としても立派な方だったそうで、「伝統の尊重と抒情性の回復」を目指した人で、自宅を発行所として俳誌「河」を創刊し、その後5冊の句集を出版された。

この邸宅は、昭和30年から住み始め、その新宅びらきの句会で詠んだ句が「ロダンの首泰山木は花得たり」で、机に置いていたロダンの首の彫刻と、庭のタイサンボクと、新築の喜びなどの晴れやかな心意気が伝わってくる。このタイサンボクは、今でも庭の一角にあり、6月の頃にもなると、大きな白い花をつけるだろうと思うと、この頃に訪れてみたいものだと思ったりする。

代表句は「花あれば西行の日とおもうべし」というものらしいが、この日の講師の先生も”西行の日”の意図は分からないとおっしゃっていたが、花を愛し、特に桜を愛した西行らしいとは思うものの、私もその心の内は定かにはできない。でも良い句だなと思い、西行好きの私としてはここを訪れた日の記念に、この句を大切にして行きたいと思った。

邸宅は新築当時は、南面がひらけ、田んぼを見渡す陽光あふれる高台にあった。この一面緑の稲田を望む景色を気に入っていたそうだが、直ぐに残念ながらこの水田地帯は買収されて大きな集合住宅が建ってしまった。荻窪住宅と呼ばれる当時としては最先端のキッチン、水洗トイレ、ガス風呂を備え庶民の憧れの的だったそうで、それが建ったのは昭和33年のことで、わずか3年で田畑田んぼはなくなってしまった。さぞがっかりだったことと思う。そうなってからは、お庭には様々な植栽を配し、四季折々、美しい植物が楽しめるお庭となっって、今に至っている。
近代数寄屋造りの建築、お茶室もあり、区の施設として、今はお茶会や講座の場所などとしても使用されている。

大黒田公園と同様に、姿は当時のままだが、周りは時代と共に大きく様変わりしてしまったが、でも当時に思いを馳せるには十分で、区の大切な施設としていつまでも語り継いで、残していって欲しいと思う。平成21年に国の登録有形文化財に指定されている。

この日の写真はなく、春になってお庭が華やいだ頃再訪して、撮ってこようと思っている。