深まる芸術の秋、10月の日本モーツァルト協会例会のプログラムは、そんな秋にふさわしい渋さを持った、モーツァルト弦楽五重奏曲2曲(K406、K593)と、ピアノ六重奏版でピアノ協奏曲第13番K415を、パリを拠点とし室内楽に情熱を持つ5人の演奏が集まって結成された「ナフェア弦楽五重奏団」によって演奏された。
2020年の予定がコロナで延びて、4年越しでようやく出演が実現。タイトルは「フランスより愛をこめて」で、何ともロマンティックなタイトル、色々な愛をたっぷりと感じる例会となった。
K406は、ハ短調の作品で、有名なト短調K516と同様、短調ながら”最後は何もなかったようにアッケラカンと終わる。これは当時の「音楽に楽しみ」を反映したものとはいえ、逆に悲劇的な曲に最後まで悲劇性を求めようとしてきた19世紀以降の音楽愛好家には大きな違和感を与えることになってしまった”(当日の小宮正安氏解説より引用)というくだりが印象的だったので、私はこの日からこのK406を家で何度も聴いている。
今月の解説はいつもの柴田克彦氏ではなく、小宮先生で、実際にオットービーバー氏の講演会の通訳をしてくださったり身近に感じている先生だったので、とても共感できる部分があって、面白く読ませて頂いた。
最後に演奏された第13番K415のピアノ協奏曲は、モーツァルトがウィーンに移り住んで、人気ピアニストとして活躍し始めた頃、3曲連続して発表したものの1曲、協奏曲だが、室内楽曲としても楽しめるように弦楽四重奏の形で独奏ピアノと共演できるよう楽譜を残している作品。
弦楽四重奏曲版としても良く演奏され、CDにもなっているので、私はこの編曲版も好きでよく聴いている。今回は弦楽五重奏版に編曲され、弦楽五重奏+ピアノ独奏という特別バージョンだった。
この曲も、この日以降何度か聴き、協奏曲としての魅力と、室内楽曲としての編曲版としての別の魅力を、どちらも味わって楽しんでいる。
小宮山先生が解説書の結びとした、「華麗なオーケストレーションを特徴とする当協奏曲の魅力を再発見できる、絶好の機会となるだろう」も、印象的だった♬♡
