先週は初めてベヒシュタイン・セントラル東京というホールに行ってきた。東京メトロ日比谷線日比谷駅に直結した綺麗なホール。
ベヒシュタインはドイツのピアノの名器で、このピアノのショールームに、サロン風のホールが隣接されていて、80名ほど収容で、室内楽にはぴったり。このホールでモーツァルトのピアノ三重奏曲ト長調K564の演奏があったので、それを聴きに行ってきました。私の好きなピアノ三重奏曲のひとつです。
でもこのモーツァルトは実はこの日のメインデッシュではなくて、「真夏の夜に響くスメタナ」というタイトルで、最後に演奏されたのはスメタナのピアノ三重奏曲ト短調Op.15という曲。
私はスメタナのこの曲は勿論初めて聴く曲でしたが、スメタナが相次いで二人の娘を亡くしたという悲劇の中で書かれ、その悲しみや慟哭、苦渋が激しく伝わってくる曲です。でも最後はその悲しみから抜け出して、感動的に終結するのですが、ヴァイオリンの独奏にピアノとチェロの色が加わり、その思いが激しく増幅されて、悲しみが伝わってきました。
スメタナの最初で最後のピアノ三重奏曲だそうですが、ロマン派の時代、ピアノ三重奏曲はチャイコフスキーやラフマニノフなど悲しみや哀悼をテーマとする作品が散見されるそうで、この曲もその一つと言われています。私は知らなかったので、とても勉強になりました。
その反面、前半最後のモーツァルトのK564は、明るく軽やかなメロディで、冒頭はピアノの音色で始まり、そしてヴァイオリン、チェロとのいつも軽やかな楽しいメロディにうっとりする。これを作った1988年は、モーツァルトはとても充実した年で、最後の交響曲第39番、40番、41番をひと月ごとにたて続けに作曲し、ピアノ協奏曲第25番「戴冠式」や、6楽章まである大作のディベルティメントK563もこのK564の一月前に書いているのです。こんなことが出来るのでしょうかと思う程で、この頃のモーツァルトがいかに作曲活動が充実していたかが分かります。
10日にはフルートの小山裕幾さん、11日はピアノの大室晃子さんのお蔭で、こうして連続して生で聴く音楽に癒され、穏やかな豊かな気持ちにさせて貰いました。本当に感謝しています。
二夜ともに心に残る演奏会でした。是非また。
