お盆で、何処の家でも決まって供されるのがカスべの煮つけ。秋田では定番です。干したのを戻して甘辛に煮たもので、好きな人も多く、ビールにも合う、カスべ、赤飯、枝豆、そしてナスやキュウリの漬物、この辺りが決まってテーブルに乗る。
このカスべはエイという魚だそうで、干物になっているのを戻して甘辛に煮るので、いかに上手煮るかが、各家の主婦の腕の見せ所。結構手間がかかるのと、独特の匂いもあるので、それもなく、柔らかく美味しく仕上げるには、難しく、簡単ではありません。骨までやわらかくコリコリと、そして身はやわらかく、そして味付けの妙・・初心者にはとてもできません。
決まっていく親せき宅のカスべは絶品で、自慢のものでしたが、貞次さんはどうも好きではなかったようで、あの魚好きで、嫌いなものなどない貞次さんの口には合わなかったのか。
なぜ今このカスべを思い出したかというと、ここ数日のうちにこの懐かしいカスべがテレビの番組に流れてきて、一つは「酒場放浪記」で、横浜西口の老舗割烹で吉田類さんが美味しそうにこの「カスべの煮つけ」を食べていた。二つ目は山形の日本海側でこのエイを干していて、これを甘辛に煮てカスべになると説明していた。これらの番組を観ていて、急に私も懐かしくなってしまった。そして、あの何でもよく食べていた貞次さんでも「僕は、カスべはちょっと・・」と言っていたのを思い出したから。
貞次さん、あれは私の故郷のお盆の食の代名詞、そんな食べ物だったのよ、もとは北海道で捕れる魚のエイだから、貞次さんの両親も食べていたのではないかと思うけど。
貞次さんとの思い出のカスべ、実は、私もそんなに好きなものではなかった、お酒飲みさんのおつまみよね。でもこれを得意とし、ご近所でも評判のカスべ上手だった親戚のおばあちゃんのことは、カスべと共に思い出す。何年も前に亡くなったので、もう食べることは叶わない。
カスべとおばあちゃん、今頃会って、貞次さんとカスべの話でもしているかな~?
